2006/03/03

自転車のパンク

昨日の朝、通勤途中で自転車の後輪がパンクした。道を走っている途中に何かを踏んだらしい。後で見てみると針金のバネのようなものがタイヤに突き刺さっていた。

これはまさに無辜の市民を狙う無差別テロに違いない。非戦闘員をターゲットとした地雷が仕掛けてあったのだ。さすがに平和ぼけした俺も目がさめた。今日本には大変な危機が迫っているのだ。ありとあらゆるテロリストたちが身勝手な正義を標榜して我々の命を狙っているのだ。昨日の攻撃はその一端に過ぎないのだ。

しかし、いまさら目が覚めたところで始まらない。まずは今そこにある危機を乗り切らねばならない。そう、心の傷は時がたてば癒されいてゆくが、タイヤの傷は永久に治らない。タイヤが受けたダメージは自転車屋に行って回復しなければならないのだ。

だが俺には為さねばならぬ任務がある。俺の双肩には明日のおまんまが懸かっているのだ。たとえわが身を削ろうとも任地へ赴かねばならないのだ。11ヶ月の長きに渡り我が足となってくれたこのタイヤにはすまないが、ここは一旦見捨てざるを得まい。俺は心を鬼にして、手傷を負い気力・精力・空気を失い断末魔の悲鳴をあげるタイヤに鞭を打ち、そのまま前進を続けた。

傷を受けたタイヤを酷使しての行軍は艱難辛苦を極めた。普段意識することのないタイヤの空気が果たす緩衝効果の重要性を今更ながらに思い知らされた。僅かな段差は俺の前に千尋の断崖のごとく立ちふさがり、その段差を超える衝撃は我が肛門を直撃する。張力を失ったゴムチューブはホイールに粘りつき速力を奪い取る。泥沼の上を走るがごとき負荷がかかり、俺の大腿筋は悲鳴をあげる。道が左右に傾斜していれば低い用へと横滑りする。気を緩めればいつ何時タイヤを取られ奈落の底へ叩き落されるか知れたものではない。

だが、そのような困難も俺のゆるぎない決意の前には何らの意味もなさなかった。結局俺は、定刻どおり職場に到着することに成功した。

自転車屋へ立ち寄ったのはその日の帰りのことだ。普段の通勤経路からやや外れたところにある自転車屋へ行き、タイヤが受けたダメージを回復してもらった。そして俺はその代償として、値と汗と涙の結晶である幾ばくかの身銭を失った。

今回の一件は、いわば不慮の事故である。だが防ぐこともできたはずだ。普段からテロや軍事攻撃・スパイによる拉致・暗殺に注意していればこんな事にはなならずに済んだはずなのだ。今更ながらに俺の認識の甘さを思い知らされた。

0 件のコメント: